平成31年度上山市一般会計予算に反対する討論を行います。
私が反対する根拠とするところは、第1に、4款衛生費の温泉健康施設事業費についてであります。15億円の事業費が予想される温泉健康施設ですが、その収支計画が示されない中で、事業所募集・用地買収などを進めるのは、市民も納得しないし、将来の市政・財政運営に大きな影響を与えかねないからです。
いま、本市の財政状況は、財政収支比率が92.2%で、非常に硬直化しており、自由に使える分はわずか7.8%しかないという状況です。このわずかな可処分部分については、市の喫緊の課題である少子高齢化対策、水道対策など市民の命とくらしに直結する部分における支出が最優先されるべきです。
今後、人口減少が進み、税収も減少していきます。そうした緊縮財政の元で、市民の福祉やくらしを向上させるためには、これまで以上に効率的な財政運営が求められます。
今年の1月30日に、宮城県桶谷町が財政非常事態宣言を発令しました。桶谷町は本市と同様に、財政健全化判断比率の水準では問題ないという評価でしたが、人口減少による町税等の伸び悩み、社会保障費の大幅な増加などを背景に収支が悪化、不足の補填による財政調整基金の取り崩しが続き、このままでは2年後に底をつくという判断で、財政非常事態宣言を発令したということです。
私は、市民の健康づくりに役立ち、医療費削減など高すぎる国保税引き下げにも寄与するであろう温泉健康施設をはなから否定するものではありません。また、市民がゆったりと利用できる公衆浴場も必要だと思います。だからこそ、この事業が市民に喜ばれ、将来的に安定した運営が図られるためにも、拙速な展開をはかるのではなく、医療法人の協力と運営への参加も含め、将来的な事業展開を保障する確固たる財政計画、収支計画を作成し、そして市民に示し、多くの賛同を得られた段階で具体的な事業化を進めるべきだと考えます。
一般会計予算に反対する第2の理由は、消費税増税にもとづく市民の負担が計上されていることです。質疑の中で市長も表明したように、消費税増税は消費を冷え込ませ、経済に大打撃を与えます。この間の市内の老舗旅館や商店の廃業が続く中での消費税増税は 、この流れをさらに加速させ、市民のくらしを直撃します。
社会保障充実のためには消費税増税が必要だという議論がありますが、消費税制度が発足以来、社会保障制度は次々と後退してきており、社会保障充実の財源とはなり得ていません。一方で、大企業の法人税や富裕層の所得税は引き下げられてきており、その穴埋め財源に消費税が充てられているといっても過言ではありません。
もともと消費税はヨーロッパ諸国の例を見ても、贅沢品に課税する付加価値税が本来の姿であり、生活品は非課税・軽減税率が原則となっています。生活必需品も含めすべてのものに課税する日本の消費税制度は世界に例を見ない逆進性の強い、低所得者ほど影響が大きい制度であり、ことあるごとに消費税を財源に増税を図る日本の財政は根本から変える必要があります。
こうしたことから消費税増税を本市の使用料や手数料に反映させるのではなく、市民のいのちとくらしを守るために消費税を転嫁させない政策が必要だと考えます。
以上の理由で、一般会計予算に反対を表明し、討論とします。