6月定例会一般質問
1番 守岡 等
 
質問テーマ:安心できる医療・介護・福祉の構築について
 
 私たちはこの間、日本共産党上山市委員会として住民アンケートを実施してきました。また日常活動の中で、市民が市政に何を求めているか3千人の市民と対話を進めてきました。その中で明らかになったことは、市民が上山市政に望むことで最も要望が強いのが安心できる医療・介護・福祉をつくってほしいということです。こうした市民の要望に基づいて以下の事項について質問させていただきます。
 
1 介護施策前進のための諸課題への対応について
(1)介護悲劇をくり返さないために
 今年の5月に三川町で介護心中事件が発生しました。85歳の夫が認知症の妻の介護に不安を覚え、施設でのケアを望んだが、近隣に空きがなかったことが引き金になったようです。
 上山市でも過去に、80代の夫が寝たきりの80代の妻を殺害するという痛ましい介護悲劇が発生しました。大変仲のいい夫婦で、夫の介護も褥瘡をつくらせないなど、大変行き届いたものであったそうです。
 なぜ、このような痛ましい事件が起きるのか、その要因を分析し、二度と介護悲劇を生まない決意を行政が示していくことは重要なことであると考えます。
 私はこれまで県内で発生した介護悲劇の分析を進めてきましたが、次のような特徴があると考えます。
 男性(息子・夫)の介護疲れによる母親・妻への加害の事例が多い
 特に50代の独身男性で十分な収入がない場合
 認知症対応は在宅では困難であること。
 介護施設に預けたくても施設が不足して入れられない、経済的問題で入所できない
 こうした分析にもとづいて当市においても次のような対応が必要だと考えられます。
 要介護者のいる全世帯の調査を行い、現状把握を行う
 特別養護老人ホームなど介護施設を整備する
 認知症対応の強化をはかる
 低所得者対策の強化をはかる
 とりわけ、市内の特養入所待機者数が300人を超え、家族に介護のしわ寄せが及んでいる状態を解消することは緊急の課題となっています。また、介護保険料が月額5千円を超え、またせっかく要介護認定が出ても1割の利用料負担が重く、経済的な問題で必要な介護サービスを控えているという声も寄せられています。
 こうした中で、米沢市や尾花沢市では低所得者の居宅介護サービス利用料の半額助成を行っているそうです。
 二度と介護悲劇を起こさないためにも、実態調査の実施、特養など介護施設の整備、介護保険料・利用料の低所得者減免を行うよう提案します。市長の見解をお伺いいたします。
 
(2)地域包括ケアシステムの整備
 「地域包括ケアシステム」とは、団塊の世代が75歳を超える2025年を見越して、これまでの病院・施設中心の医療・介護から地域にシフトを移して家族やボランティアの協力も得ながら高齢者の支援を行うというもので、公的社会保障制度とは別建ての制度設計だと考えられます。
 いわば社会保障費抑制の位置づけを持つ制度改変だといえますが、もともとこの地域包括ケアという概念は、広島県旧御調町の医師が、医療・介護の連携を強化することによって寝たきり老人ゼロ作戦を展開したのが始まりだといわれています。病院で医師が必死の治療で病気を治して地域に返しても、やがては寝たきりになっている現状に疑問を抱き、医療と介護の連携の必要性を唱えたものです。
 私は、住民本位の地域包括ケアシステムを整備することによって、健康寿命を伸ばしたり、人生の最期は自宅で過ごしたいという高齢者の願いに応えるものにもなり得るものだと考えます。
 具体的には、いま600人以上いる上山市の寝たきり老人の数をゼロにするという課題です。人間は本来、必要な介護・ケアが行われれば重病を除き寝たきりにはならないといわれています。現に北欧諸国には「寝たきり」という言葉すら存在しません。しかし、放っておくと簡単に寝たきりになるのも人間です。寝たきりは「寝かせきり」というべきものです。
 本市においても医療・保健・介護・福祉の連携を強化し、他職種参加の症例検討会を実施するなどして、地域で高齢者がきちんとした方針の下でケアを受け、寝たきり老人の数を減らし、健康寿命の延伸を図るべきと考えます。市長の見解をお伺いいたします。
 
 また、今後在宅医療・在宅介護を進めていくには施設・マンパワーの整備・確保が必須となっております。これまで病院や施設に入院・入所していた方々が地域で安心して暮らしていくためには定期巡回・随時対応型訪問介護看護や在宅療養支援診療所といったサービス提供体制が必要になります。
 そして在宅介護の要となるヘルパーの確保は待ったなしの課題となっています。とりわけ障害者や難病患者が利用する重度訪問介護は全く不足しており、本来であれば24時間、12時間といった長時間の見守り・介護が必要な方が十分なサービスを受けられないという状況になっています。高齢者・障害者・難病患者が在宅で十分なサービスが受けられるように24時間対応のサービス提供やヘルパーの確保と養成をはかることは急務だと考えますが、市長の見解をお伺いいたします。
 
 
2 国民健康保険制度の諸課題への対応について
(1)国保税滞納者への対応
 上山市の国保税は、平成25年度一般一人当たり保険税調定額が13市で6位と、県内でも高い方に位置しています。市民にとって国保税の負担は限界に来ていると思います。そして、高すぎる国保税を払えず滞納し、1年以上滞納を続けると資格証明書という実質の保険証取り上げ、全額窓口負担という厳しい罰則が待ってます。この資格証明書を発行されている世帯が42世帯います。また、財産の差し押さえも行われています。
 資格証明書の発行は滞納者を行政窓口から遠ざけ、必要な医療が受けられず命の保障すら失わせるものです。私は保険税を払えるのに払わない人は別にして、ぎりぎりの生活を営む中でやむなく保険税を滞納している方には資格証明書の発行ではなく、短期被保険者証の発行で、連絡を密にし、納税相談をきちんと行い、必要な医療も保障するやり方の方が効果的であると考えます。
 平成21年に新型インフルエンザが流行し、資格証明書を発行された方々の医療の確保が問題になったとき、厚労省保険局医療課から出された文書では、経済的困窮者は「特別な事情」にあたり資格証明書の発行対象でない可能性が示唆されています。以前、資格証明書を発行された世帯の所得状況を調査したことがありましたが、低所得層に資格証明書がかなり発行されている状況も明らかになりました。
 このような状況の下で、経済困窮者には資格証明書を発行せず、短期被保険者証の発行と平行して丁寧な相談活動をはかっていただくことを要請しますが、市長の見解をお伺いいたします。
 
(2)国保税を引き下げるために
 国保税を引き下げてほしいというのは多くの市民の声です。高すぎる国保税を引き下げるためには、次のことがあげられます。
 国庫負担の増額
一般会計からの繰り入れ
 国保基金の取り崩し
保健予防活動の強化などによる医療費の抑制
 この中で特に、現在上山市国保会計に積み立てられている約7億円の基金の一部を取り崩し、国保税引き下げの財源にしていただくことを要請します。
 国保基金の積立額の目安は保険給付費等の3年間の平均の10%以上です。その基準に従うと当市の保有すべき基金は2億3千万円であり、すでに約5億円近くも基準よりも多く積み立てられていることになります。その一部、たとえば1億円を取り崩すだけで1世帯あたり約2万円の保険税引き下げが可能です。この基金、もともとは市民の財産であり、それを市民に還元することは道理にかなうものです。
 いま、消費税増税や社会保障負担が増え、多くの市民が経済的不安を抱えて生活しています。安心できる医療構築の基本として、国保基金の一部を取り崩し、保険税を引き下げて市民の健康権を守っていただくよう提案します。市長の見解をお伺いいたします。
 
 また、保健予防活動の強化については、健康長寿の県として長野県がありますが、実は長野県と上山市にはたくさんの共通点があります。標高が高い、坂が多い、高齢者の就業率が高い、野菜の摂取量が多い、温泉が多い、公民館活動が活発といった点です。
 保健予防活動の水準を長野県なみに引き上げたならば、健康寿命が延伸し、医療費を下げることも可能だと考えます。ぜひ安心できる国保制度の実現のためにも保健予防活動の強化が必要だと思いますが、市長の見解をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。