1 1人でも安心して生活できる社会づくりについて
 
 一人でも安心して生活できる社会づくりについて質問させていただきます。
 本市における65歳以上の高齢者人口は11,238人で高齢化率は36.08%(平成28年度)となっており、65歳以上のうち、一人暮らしは1,269人(11.29%)、高齢者世帯は2,667世帯23.66%)となっています。
 全国的にも一人暮らしの方が増える傾向にあり、総務省の「国勢調査」でもこの30年間に5倍以上増えていることが報告されています。
 一人暮らしが増えるのは高齢化および核家族化の進行による必然的な現象と言えますが、結婚しない人の増加、熟年離婚、シングル介護(仕事をやめて介護に専念する娘や息子の増加)なども一人暮らしの方が増える要因となっているようです。
 一人暮らしでも、地縁・血縁など様々なネットワークによって安心して生活を営むことは可能であり、また在宅介護や在宅医療によって人生の最期を看取ることも可能です。
 しかし、私はこの間、誰にも看取られることなく死亡し、死亡した後発見されるという孤独死の事例を立て続けに経験しました。社会的に完全に孤立していたわけではないので、死後まもなく発見されましたが、こうした事例に大きな不安を抱えている市民もたくさんいると思われ、あるいは社会的に孤立したまま一人で死亡し、数日後・数ヶ月後に発見されたという事例もあるかもしれません。
 孤独死の定義が明確でないため、関係機関にも統計がない状態ですが、山形県内における孤独死の実態について、山形大学医学部環境病態統御学講座の大澤資樹先生の研究論文が出されています。大澤先生は2000(平成12)年から2004(平成16)年の5年間の山形県警の検視記録について統計解析を行い、孤独死を「一人暮らしや家族がいてもその不在時に誰にも看取られることなく死を迎えた場合」と定義し、その数を明らかにしました。孤独死は平成12年157人、平成13年149人、平成14年167人、平成15年182人、平成16年203人と、5年間で858人となっており、その数は増加傾向にあると指摘しています。男女比は男性が64.8%、女性が35.2%ですが、64歳以下では男性が84.2%と圧倒的多数を占めています。人口10万人あたりでは年間17.5人であり、上山市に換算すると年間5.2人が孤独死している計算になります。
 読売新聞の今年の調査では、死亡者数全体に占める孤独死の割合は約30人に1人にあたる3.5%で、この数字を上山市に当てはめると年間孤独死は15人になります。
 こうした状況に加え、最近の孤独死研究の成果として、男性の方が孤独死しやすいことが明らかになっています。その要因としては近所づきあいが希薄で、地域での存在感が小さいこと、定年後に地域のコミュニティに参画できる人が少ないこと、遠く離れた娘や息子に安否を気遣ってもらうことに遠慮しがちであることなどがあげられています。
 高齢者以外の青壮年層でも問題は深刻です。リストラ等で仕事を失った人がセルフネグレクトに陥り、アルコール依存症になって肝硬変などの慢性的な疾患を患ったままひきこもっている問題、高齢の両親と未婚の子供が同居している場合、子供は働いていなくても親の年金などで暮らしていたものの、親が80代、子が50代になり、親の介護がのしかかれば、双方の生活破綻しかねないいわゆる80−50問題、あるいは障がいを持つ子の親が死亡した後の子どもの孤立の問題など、青壮年層が社会的に孤立してしまう問題も見過ごせません。
 
(1) 社会的孤立を防ぐための行政の役割
  こうした独り死や社会的孤立を伴った孤独死という問題は、これまでの老人福祉、児童福祉、障がい者福祉といったカテゴリーでは対応しきれない制度のはざまに位置する課題であり、行政の対応も十分だったとは言い切れない面があります。国の方でも孤独死・孤立死については、従来の縦割り福祉では解決できないことから、横断的な課題として取り扱う「地域福祉」の考え方を打ち出しています。
 また、国ではひきこもりやニートの就労を後押しするために、「地域若者サポートステーション」の整備を進め、現在は全国で全都道府県に170カ所のサポートステーションがあり、NPO法人などに運営を委託しています。これまでは39歳までを対象にしていた支援制度ですが、ひきこもり者が高齢化する傾向にあることから、来年度から44歳まで対象を広げるとのことです。
 本市としても孤独死・社会的孤立を防ぐに当たっては、地域福祉という理念を基軸において、包括的な支援を行う必要があると考えます。
 高齢者の部分については、民生委員などの訪問行動等で一定の状況把握が可能ですが、制度のはざまに陥っている青壮年のひきこもり・社会的孤立の状況把握は十分でありません。いま、孤独死の3割は青壮年のひきこもりが要因になっている中、これまで以上の取組が必要になっています。
 また、地域包括ケアシステムという病院・施設から在宅・地域へという流れの中で、市の新たな対応も必要になっています。
 こうした観点から以下の事項について提案します。
 
ア 支援機関の設置による専門的な支援
 第一に、社会的孤立を防ぐためには、ひきこもり者の実態を把握するために、医療機関・介護事業所、行政のソーシャルワーカーや保健師、さらには税務課・上下水道課の職員、地域包括支援センターなどの社会福祉士、そして民生委員や福祉協力員、教育関係者などの持つ情報を一元化し、孤独死・社会的孤立のリスクの高い住民の実態把握と対応を図ることが必要です。
 また、ニッセイ基礎研究所の分析では、孤独死の8割が自己放任で必要な食事を摂らなかったり、医療・介護の介入を拒むなどセルフ・ネグレクトの状態にあり、5割に医療や福祉の拒否がみられたとのことです。こうした社会的孤立に陥っている方たちに対しては、カウンセリング、福祉サービスの活用、医学的治療など様々な専門的なアプローチが必要です。
 こうしたことから本市においても孤独死・社会的孤立を防ぐために包括的な支援機関を設置し、情報の一元化を図るとともに、医療・保健・福祉の専門的な支援を行っていくことを提案します。
  
イ 看護小規模多機能型居宅介護サービスの整備
 第二に、在宅医療・介護の整備を図ることです。いま、病院や施設の病床が減らされ、在宅医療・在宅介護へとシフトする動きが加速しています。在宅で最期を過ごす人が増えることから、必要な対策をとらないと今以上に独り死・孤独死が増えることになります。
 慣れ親しんだ地域、自分の家で最期を迎えたいというのは多くの市民の願いでもありますが、核家族化が進み、共働き世帯が多い本市において、医療機関や介護事業所の支援なしでは最期の看取りを行うことは困難です。そのために本市において、看護小規模多機能型居宅介護事業所の整備を図ることを提案します。
 この看護小規模多機能型居宅介護というのは、24時間・365日の訪問看護と訪問介護、デイサービス、ショートステイを同一事業所で提供する介護保険のサービスです。略して「看多機」と呼ばれています。看多機には常勤の保健師または看護師、そしてケアマネジャーの配置が義務づけられており、一人暮らしでもこうした事業所の支援で安心して人間らしい生活できます。本市においてはこうした訪問看護をともなった複合型施設はまだ存在せず、今後の充実が求められます。
 包括的な支援機関の設置および看多機の設置など、孤独死、社会的孤立を防ぐ上での行政の役割について、市長のご所見をお示しください。
 
(2) 見守りの強化
 独り死・孤独死を予防する上で一番大切なのことは、地縁・血縁・職縁といった人間の結びつきをつくることです。こうした縁がたくさんある人ほど、独り死・孤独死のリスクが低くなり、安心して暮らすことができるといわれています。しかし、地域の中には縁をつくることが困難な人もいます。そのような市民のために縁づくりの援助を行い、見守り活動を強化することが求められていることから、以下の事項について提案します。
ア 緊急通報システムの改善
 第一に、緊急通報システムの整備についてです。現在、各地区の民生委員が大変な努力で訪問活動に取り組んでいるほか、全国各地で新聞販売所・水道・ガス会社との連携、ゴミ収集サービスなどが取り組まれています。本市でも高齢者安心見守りサービス事業や愛の一声運動事業とともに緊急通報システムが見守りの中心事業として平成7年度から取り組まれています。これは概ね65歳以上の病弱な一人暮らし高齢者や重度身体障がい者、家庭内での急病や事故に遭った場合の不安を和らげ、また速やかな対応を行うため電話回線を利用して、警備会社の受信センターに通報し、近隣の協力員が状況を確認するというものです。大変すばらしい事業ではありますが、ペンダントと据え置き型ということで、いざというときにボタンがどこにあるかわからなくなったり、協力員をお願いする際に人選が難しいという問題があるようです。また、駆けつけてくれる協力員に気兼ねしてボタンを押しづらいという問題もあるようです。このようなことから、緊急通報システムとしては腕時計型の端末に切り替えて、常時身につけていられる形態のものにすること、そして親類や近隣の住民を頼る協力員制度ではなく、前述した24時間対応の診療所や訪問看護ステーションなどの活用によって、医療・介護などの専門職が間に入り、そこで救急車を呼ぶかどうかの判断を行うようにするなどシステムの整備を図り、より利用しやすい緊急通報システムにしていくよう提案します。
 
イ ICTを活用した見守り機器導入への助成
 第二に、情報通信技術(ICT)を活用した見守りの強化です。近年はICTを活用した見守りサービスが展開されています。その代表的なものが見守りセンサーカメラです。これは人が転倒したり脳梗塞を起こしたりしているなど、危険な状態に陥ったことをカメラが自動で検知して、スマートフォンなどに通知するシステムです。ライブ映像を観ることもでき、子どもが遠く離れているところに住んでいても、一定の安心感を得ることができます。
 その他にも、日本郵便が開発した安否や体調確認をタブレット端末を利用して行うサービス(神奈川県愛川町)、診療所の登録患者にパソコンから定期的に自動電話して患者状況を確認する安心電話(千葉県松戸市)、電気ポットや電球の利用状況を利用した見守りサービスなど多彩なサービスが行われています。こうしたICT機器を活用した見守りについて、市の助成制度を設けることを提案します。
 見守りの強化のための助成について、市長のご所見をお示しください。