一般質問の要旨 (令和2年9月)
質問者 議席番号 4番 守 岡 等 議員
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1 新型コロナウイルス感染症第二波対策の強化について
新型コロナウイルス感染症は都市部を中心に第二波ともいえる拡大の様相を呈しており、本市にもその影響が及ぶのは必至といえる状況です。
第一波の時には、新型コロナウイルスに対する情報も不足しており、緊急事態宣言に基づく一斉休業や休校によってウイルス感染を予防したことには一定の意義と効果がありましたが、今後同じような対策を取っていたのでは日本経済は深刻な打撃を受け、子どもたちの教育も取り返しのつかない状況におかれてしまいます。
そもそも、ワクチンも治療薬も開発途上の段階では、PCR検査体制をできる限り拡大して感染者を発見し、他者に感染させないように速やかに感染者を分離・隔離するのが公衆衛生本来の任務であったはずですが、わが国においては検査数を抑える政策がとられ、その結果、無症状の感染者を増やし、感染震源地(エピセンター)ともいうべき感染拡大を引き起こし、「Go To トラベル事業」の実施強行など、感染拡大を加速させる事態になっています。
現在、本市における新型コロナウイルス感染症が確認された感染者は5名で、その後新たな感染者は確認されていません。しかし、新型コロナウイルスの特色である8割の人は感染しても症状が出ないといわれており、無症状感染者が相当数いることに注意しなければなりません。山形大学医学部が行った抗体検査の推計値からは、陽性率は0.5%で、県民107万人のうち、少なく見積もって670人、最大で1万人が新型コロナウイルスに感染しているといわれています。
しかも注意しなければならないのは、コロナウイルスは変異を起こすウイルスだということです。スペイン風邪の時には流行が収まりかけたときに急に毒性を増し、死亡者も増えました。当時は戦争中でしたが、免疫力の高い若者に感染したウイルスが、かえって免疫の暴走を引き起こし、多くの若者の命を奪ったということです。この免疫の暴走はサイトカインストームと呼ばれていますが、今日の新型コロナウイルス感染症の軽症者が急に重症化するのもこのサイトカインストームが影響しているといわれています。
2020年5月に相撲協会の28歳の力士が、新型コロナウイルス性肺炎で死亡したことが発表されました。4月4日から38度以上の発熱があったものの、保健所の電話もつながらず、医療機関も見つからず、速やかな検査や治療ができなかったことが重症化・死亡につながったようです。実は、今年4月に市内において感染者が出た際にも同様の事例があり、なかなか検査が受けられないという状況にありました。幸い本市の事例では感染に至らずに済んだようですが、このように新型コロナウイルスというものは、免疫力のある若者ですら死に至らしめる毒性を増す可能性のあるウイルスであり、まして高齢者など重症化・死亡のリスクの高い人たちにとって大きな脅威となるものです。私は、本市において第二波が来る前に十分な新型コロナウイルス感染症対策を強化する必要があると考え、以下の事項について提案するものです。
(1) PCR検査体制の構築
ワクチンや治療薬がない中、一定の感染拡大が進むことは覚悟しなければなりません。しかも海外のように都市封鎖・ロックダウンを行うことは法的にも許されず、第一波の時のような全国画一の非常事態宣言にもとづく経済活動の自粛や学校の休校措置をとることは不可能であると考えます。
そうした中で行政が果たすべきことは、感染者を分離・隔離して観察・治療を行いながら、経済や教育を回していくということです。
そのためには相当数のPCR検査を実施して感染者を把握していくことが重要な課題となります。
国や県も飛躍的にPCR検査数を伸ばす方針を示していますが、すでにそれにさきがけて各自治体での取組が進んでいます。
一つはドライブスルー方式によるPCR検査の実施です(新潟市、名古屋市など)。これまでの検査法では1日に採取できる検体は10件が限界だったようですが、ドライブスルー方式では20〜30件が可能になったということです。
二つ目には富士宮市で行っているウォークスルー方式というやり方です。本市と同様に保健所を持たない富士宮市では、検査数を増やすために医師会等と協力して、密閉されたボックスから医師が手袋を付けた状態で腕を出し、歩いてきた患者に対応するウォークスルー方式という検査方法を始めました。ドライブスルー方式に比べ医師の感染リスクが低いのが特徴です。かかりつけ医を通じた予約で受け付けるということで、市のPCR検査は保険診療対象となり、初診料や検体採取料として1800円が患者の自己負担になるということです。
三つ目には移動式PCR検査の実施で、千葉県鎌ケ谷市などで実施されています。ワンボックス車を利用した移動式PCR検査所を導入し、ワンボックス車の後部座席を取り払い、透明なパネルを設置。パネル越しに車外の被験者から検体を採取し、1日15人採取が可能だということです。屋外で検体の採取ができ、医療従事者の感染リスクを最小限に抑えることができるのが特徴です。
四つ目には、東京新宿区などで実施されている訪問医によるPCR検査です。高齢者施設などで感染すると重症化や死亡のリスクが高いため、できるだけ早く対応し、被害を最小限に抑えることが必要となりますが、認知症や持病を抱え、検査所に行けない高齢者がほとんどを占める高齢者施設においては、本人の状態や家族の事情をよく知っている訪問医がその場で検査できればより早い段階で感染を把握し、対策がとれるということから始めたそうです。県内の福祉施設でも第一波が広がった際には「入所者を病院など施設外に出すことは困難。施設内で対応をはかるしかない。その際、施設内で感染が広がることも覚悟しなければならない」と職員に説明があったそうですが、クラスターを最小限のものにするためにも、こうした対応が必要です。
五つ目には、いま全国各地で広がっている診療所で唾液を使ったPCR検査です。唾液を検体に使い、検体は民間検査機関に搬送され、2〜3日で検査結果が分かります。医療従事者の感染リスクも低減し、東京練馬区内では100箇所を超す診療所がPCR検査をする意向を示していると報道されています。
6月2日に厚生労働省は唾液を使うPCR検査の実施を認め、都道府県に通知しました。鼻の奥の粘液を綿棒で採取する従来の方法は、咳やくしゃみが出やすく、検体を採取する医療従事者に感染するリスクがあり、また、病院で採取する場合、医師や看護師の防護服の着脱、採取後の部屋の消毒を含め1人につき30分〜40分かかっていたのですが、唾液を使う検査は本人が容器に唾液を出すだけですむため、短時間で、しかも感染の危険性も少なくてすむということです。
こうした各自治体の取組を参考にしながら、本市において以下のような検査体制の整備を図ることを提案します。
ア 唾液によるPCR検査の医療機関への委託及び検査費用、防護資材の助成
唾液によるPCRの実施について医療機関に委託し、検査費用の公費負担と医療機関における防護資材の整備について助成を行うことです。
高熱など新型コロナウイルス感染の症状を示している人は保健所などでの検査が義務づけられていますが、最も多くの感染源となっている無症状感染者をいかにして発見するかが、今後の対策の基本となります。いつでも、どこでも、何度でも検査を受けられる環境整備が今後、本市における感染症拡大を食い止めるカギになるといっても過言ではありません。
厚生労働省も、濃厚接触者に対する検査とは別のものとして行政検査を行うことが可能であり、医療機関との行政検査に係る契約締結を積極的に進め、地域の医師の判断の下に迅速な検査が受けられる体制を強化されたいと通知しています。
また、検査に必要な検査・防護のための資材の整備について、市で積極的に助成することが求められています。
イ 医療・福祉・教育等に携わる人に対する検査の実施
人々が社会生活を営む上で欠かせない、生活インフラや社会インフラを維持する仕事に従事している人々は、エッセンシャルワーカーと呼ばれているようですが、こうした方たちはウイルスに感染するリスクも高くなっており、日頃から定期的に検査を実施し、安全性を確保しておく必要があります。仮にこうした方たちの間で感染が広がった場合でも、感染源を特定し、より感染が広がらない対策を取る上でも検査は有効です。
東京・世田谷区は、区内すべての介護施設職員や保育士など2万人以上を対象にして、症状の有無にかかわらず、一斉にPCR検査を行う方針を固めました。総額およそ4億円の費用は公費で負担するということです。
PCR検査体制の構築について、市長のご所見をお示しください。
(2) インフルエンザ予防接種費用の助成対象拡大
夏になっても衰えを見せない新型コロナウイルスですが、秋から冬にかけてはさらに勢いを増すのではないかという専門家もいます。少なくとも今の状況の下でも、インフルエンザの流行と重なった場合、医療機関等において大変な混乱が生じることが予想されます。
新型コロナウイルス感染症とインフルエンザには、発熱や上気道症状などの共通の症状があり、インフルエンザと思って医療機関を受診した人によりさらに新型コロナウイルス感染が増える事態も予想されます。
こうした混乱を少しでも減らすために、インフルエンザ予防接種者の数を増やす必要があります。インフルエンザはワクチンが開発されているため、ワクチンを接種すればインフルエンザに罹患する割合は大幅に減らすことができます。
さらに、アメリカ・コーネル大学の医師たちからは、インフルエンザワクチン接種率と新型コロナウイルス感染症死亡率に優位な相関があることが示され、インフルエンザワクチン接種率が高い地域では新型コロナウイルス感染症による死亡率が低いことが明らかになっています。まだ仮説の段階でエビデンスとして確立したわけではありませんが、インフルエンザワクチンが新型コロナ感染を予防する可能性もあることが指摘されたのは重要です。
いま、本市においてはインフルエンザ予防接種助成として、65歳以上の高齢者に2千円、生後6カ月から就学前までの乳幼児に2千円(2回)公費から助成されています。
新型コロナウイルス感染症が収束の見通しが立たないもと、インフルエンザ予防接種公費助成の対象を拡大し、少しでも新型コロナウイルス感染症対策を進めることは意義があると考えます。そこで、新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間、インフルエンザ予防接種助成対象を、すべての小中学生に拡大することを提案します。市長のご所見をお示しください。
(3)生活困窮者への支援制度の創設
今回のコロナ禍で職を失ったり収入が大きく減少した市民からも痛切な声が寄せられています。緊急的な対策の一つとして社会福祉協議会を窓口とする「新型コロナウイルス感染症にかかる生活福祉資金特例貸付」があり、すでに多くの市民が活用しており、またこの制度を利用した世帯に食の支援も行われており、大変喜ばれています。しかし一方で、すでにこれまでの他の貸付制度を利用しており、返済が済んでいない方はこの制度を利用できず、明日の食い扶持にも困っているという方が数名いました。
また、最後のセーフティーネットとして生活保護制度があるわけですが、全国では生活保護の申請件数が25%増している中、本市においてはスティグマ(恥)の問題もあり、なかなかこの制度を利用する世帯が増えないという状況にあるようです。
こうした状況のもと、生活困窮者への支援制度を創設することを提案します。
市長のご所見をお示しください。