一般質問の要旨   (令和3年9月)
質問者 議席番号 4番  守 岡  等  議員
 
1 新型コロナウイルス感染症対策の強化について
  新型コロナウイルス感染症をめぐっては、連日のように感染拡大がマスコミで報道され、緊急事態宣言や特別集中期間の設定など、様々な対策が講じられています。未知のウイルスということで、まだまだわからないことが多々ある一方、一定の傾向として明らかになってきた部分もあります。新型コロナウイルス感染症対策としては、正確な情報に基づいて、事実に即した科学的な対応をとることが何よりも求められています。そのことが市民の不安を払拭し、様々な差別・偏見を打ち破っていく原動力となります。
 
  まず、新型コロナウイルスの感染状況についてです。厚生労働省で出しているデータでは全国の陽性者数の累積は1,277,439人、死亡者数の累積は15,596人(2021年8月22日現在)、年間死亡者数は2020年度9,159人となっています。
年代別死亡者数では10歳未満、10代はゼロ、20代・30代もほんのわずかで、70代以上で88%を占め、60歳代以上になると96%を占めています。
  日本の季節性インフルエンザによる死亡者は、年平均で1万人超と推定され(国立保健医療科学院の逢見憲一氏ら)、現在の所、新型コロナウイルス感染症による死亡者数は季節性インフルエンザと同じ程度であることが示されています。
  また、2020年度の総死亡者数は、11年ぶりに9千人も減少しており、様々な疾患を持つ高齢者の予後を勘案すると、新型コロナウイルス感染症が突出して高齢者の死亡要因とはなっていないのではないかと思われます。
  また、世界的に見て日本や東アジアの諸国は欧米諸国に比べ、感染者数・死亡者数が桁違いに少なく、その原因として「BCG」仮説や「交差免疫」仮説などが唱えられています。
  こうしたことから、新型コロナウイルス感染症は、ペストやスペイン風邪のような致死性の高い病原菌・ウイルスではないという認識のもと、高齢者や基礎疾患がある人などハイリスクグループの対策を中心に据える必要があります。そしてコロナ撲滅ではなく、ウイズコロナの視点に立って、やがては集団免疫が獲得され、普通の風邪として共存していくというのが公衆衛生学の専門家の見方です。
  ただし、新型コロナウイルスは変異を繰り返すウイルスであり、現在拡大しつつあるデルタ株や今後感染拡大が予想されるラムダ株など、これまで以上の感染力を持つウイルスの脅威を侮ることはできません。
  「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染法)にもとづく政令で、新型コロナウイルス感染症はSARSなどと同じ「2類相当」となりました。そのため陽性となった場合には保健所への届出が義務づけられ、感染経路の調査や指定医療機関での対応が必要となり、軽症者も隔離されますが、感染から治療までの間にタイムラグができるため、その間重症化してしまう問題点も指摘されています。現在、新型インフルエンザ等感染症(2類相当の対応)から季節性インフルエンザと同様の5類に下げる検討の動きがあるようですが、開業医など民間の医療機関で軽症者対応が可能になれば、医療逼迫の一定の改善が図られるととともに、重症化予防も可能になると考えられます。
  また、日本の病床数は約160万床で、人口あたり病床数では世界一でありながら、新型コロナ感染対策病床として使用している病床はわずか2.3%の37,301床(2020年8月現在)となっています。病院の7割を民間医療機関が占めていることから、国や県の関与による病床拡大は難しい面がありますが、地域連携及び行政の指導力が問われる課題です。
 
  日本は欧米諸国と異なり、憲法の制約もあり完全ロックダウンは行わずに、緊急事態宣言等諸活動の制限による感染予防対策を行ってきました。しかし、それでもコロナ自粛による副作用は予想以上に大きなものとなっています。2020年の国内総生産(GDP)はリーマンショックの2009年に次ぐ過去2番目の下げ幅になっており、2020年の完全失業率は2.8%(前年比+0.4%)、完全失業者数194万人、全国の大学・短大を感染拡大の影響で中退または休学した人が5,801人、また、10年連続で減少していた自殺者数が増加に転じ、特に女性が6,976人、小中高生が440人と過去最高になっているなど、様々な面で深刻な影響をもたらしています。
  感染拡大を防ぐためには一定の行動制限や自粛は必要ですが、人間が社会活動を制限されることによる弊害についても考えていく必要があります。今後は、高齢者などハイリスクグループの感染予防を徹底しながらも、一定の経済・社会活動を継続していくというスタンスで対策を行っていく必要があるのではないかと考えます。
 
  いま、新型コロナウイルスワクチン接種が広がり、一定の感染予防・重症化予防効果をあげています。しかし、変異株の拡大とともに、ワクチンの有効性が低下しているのではないかと思われ、3回目のワクチン接種に踏み切る国が増えてきました。3回の接種でブースター効果をあげるとしていますが、新型コロナウイルスは変異を繰り返すものであることから、今後もいたちごっこを繰り返すのではないかと危惧されます。同じ変異ウイルスであるエイズワクチンがいまだにできないことがそのことを示しています。
  現在、新型コロナウイルスワクチンとしては大きくメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、ウイルスベクターワクチン、DNAワクチンに分類されますが、いずれも十分な治験を経ないで実用化されたものばかりで、効果と副反応の研究は緒に就いたばかりです。こうした中でワクチン接種後の状況が厚生労働省より定期的に発表されていますが、2021年7月末で919人の新型コロナウイルスワクチン接種後の死亡が報告されています。新型コロナウイルス感染症による死亡者が高齢者に集中しているのに対して、ワクチン接種後の死亡者は各年代にまたがっています。
  また、インフルエンザワクチン接種後の死亡者数(2010−2011シーズン以降各シーズン3〜22人)と比較しても、桁違いに新型コロナワクチン接種後死亡者数が多くなっています。
  さらに重大なことは、2021年8月4日発表の7月末919人というワクチン接種後死亡者数は7月21日の前回調査時より168人増えていますが、これは同期間の新型コロナウイルス感染症による死亡者を上回る事態になっています。新型コロナで死亡する数よりも、ワクチン接種後に死亡した数が上回るというゆゆしき事態となっています。
  なぜこんなに新型コロナウイルスワクチン接種後の死亡者が多くなっているのかは、今後の研究が待たれるところですが、免疫システムが暴走し、ウイルスだけでなく自分の細胞も攻撃してしまうサイトカインストームやワクチンが作った抗体によって、ウイルス感染時に重篤化する現象、抗体依存性感染増強(ADE)は動物実験の段階でも指摘されていました。とりわけ子ども達への慎重な対応が求められています。
 
 新型コロナウイルス感染症対策については、今後年数をかけて分析が行われるものと考えますが、現時点で成功事例として評価されるのが、スウェーデンと台湾の徹底した情報開示の取組です。
  両者に共通するのは、医学の専門家が新型コロナ対策の責任者となり、政策の根拠を徹底して国民に開示していったことです。特徴的なのが記者会見で、ほとんど毎日質問がなくなるまで記者会見を行なうという取組を継続し、こうした根拠に基づいた徹底した政策展開によって、国民の信頼を勝ち取り、具体的な成果をあげていったということです。
  我が国の実状に照らしてみた場合、その差は歴然です。日本では首相、内閣の諮問機関である分科会の会長、厚生労働大臣、経済産業大臣に加えワクチン接種担当の大臣まで置かれ、指揮系統が分散され、極端な場合、オリンピックの開催について意見が食い違うということも起きました。こうした体制でいくら緊急事態宣言を発令しようとも、国民の理解と合意を得るにはほど遠い事態となっています。
  2017年7月に厚生労働省に事務次官級の医系技官ポストである医務技監が設置されました。これは「保健医療分野の重要施策を一元的に推進するための統括的役割」を担うことを目的にしています。やはり我が国においても、専門家をトップに据えて 科学的根拠に基づいた政策を立案し、徹底して国民に納得のいくまで説明する取組が求められています。そして、国・県・市町村の役割分担を明確にして、特に住民と一番近い存在である市町村の力を十分に発揮できるシステム構築が必要です。
  こうした問題意識にもとづいて、以下の事項について提案するものです。
 
(1) 自宅療養等への対応
ア オンライン診療促進事業の推進
   国は8月3日に、重症患者と重症化リスクの高い患者は「原則自宅療養」という方針を打ち出しました。入院環境の整備が進まない中での苦肉の策と言えますが、自宅療養を余儀なくされた方が手遅れで亡くなったり、重症化する事例が後を絶ちません。
 今後、県内においても自宅療養者が増えることが予想され、また新型コロナウイルス感染症を5類に引き下げる検討の動きがある中、地域の医療機関における診療も必要とされることから、地域で24時間体制で見守る仕組みが必要となります。
 こうした中、すでに国の方からは「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が示され、具体化が始まっています。
 オンライン診療は好きな場所から診療を受けられ、処方箋も自宅に届けられ、通院時間・待ち時間の解消が図られ、より多くの人が手軽に診察を受けられるようになり、コロナ以前から取組が推奨されてきました。
   コロナ禍においては、院内感染を防止するうえで大きな意義を持つものであり、すでに発熱外来という形でコロナ患者を受け入れている医療機関においても、積極的に導入されています。
   四街道市においては、「オンライン診療促進事業」が整備され、新型コロナウイルス感染症が拡大している状況の中、院内感染を含む感染防止のため、非常時の対応として、オンライン・電話による診療を行う医療機関及び調剤・服薬指導を行う保険薬局に対して通信機器設備、オンラインシステムの導入・リースなどの環境整備を支援するための奨励金(10万円)が支給されています。
   名古屋市では、「名古屋市新型コロナウイルス感染症自宅療養者等への医療提供事業補助金」制度が設けられ、市内の自宅、高齢者施設等にて療養している新型コロナウイルス感染症患者及び無症状病原体保有者に対して、オンライン診療等を実施した医療機関等を対象とした補助金制度が整備されています。
   本市においてもオンライン診療を促進するための事業を整備し、コロナ禍における院内感染を防止するとともに、市民がより手軽に診療できる環境整備にあたることを提案します。市長のご所見をお示しください。
 
(2) 高齢者福祉施設、障がい者施設における対策
ア 全職員、入所者に対する定期的なPCR検査の実施
   新型コロナウイルスが猛威を振るう中、最も危機感を募らせているのが高齢者福祉施設や障がい者施設の入所者・職員ではないでしょうか。密接した空間で密着したサービスが多いという感染リスクが高い環境のもと、心身の障がいや家庭の事情などで指定病院や自宅での療養・介護が困難なため、もしクラスターが発生しても入所元にとどまらざるを得ず、隔離する施設環境も乏しいことから施設全体が感染してしまうリスクがあります。
   2021年7月中旬から8月にかけて沖縄県のある病院では入院患者ら199人が感染し、69人が死亡したことが公表されました。この病院は、要介護度の高い患者や、認知症などの患者が入院する病院で、クラスターが発生しても自宅や他施設に移ることが困難だったとのことです。
 本市においても同様の出来事が発生することが予想されますが、何よりも感染を未然に防ぐことが求められます。
   PCR検査は、新型コロナウイルス感染症の感染者を早期に発見することができ、初期対応が迅速に行なえ、感染予防にも繋がると思われます。高齢者福祉施設、障がい者施設の全職員、入所者に対する定期的なPCR検査の実施について、市長のご所見をお示しください。
 
 
2 荒町川及び八幡堂川の河川改修事業再開に向けた県・地域との連携推進について
(1) 地域づくりとタイアップした河川整備
  2020年7月28日の豪雨災害では、市内各地で大きな被害が発生しました。とりわけ荒町川及び八幡堂川合流付近から越水し、周辺の住宅だけでなく新湯地区の温泉旅館や二日町プラザ周辺まで被害を拡大させました。
 以前から、この付近は氾濫の危険性が危惧されており、当該地区からも河川整備の要望が出されていました。
  河川整備は県の事業であり、県の当初計画は前川合流点より上流1kmを全面改修する計画でしたが、下流から改修が進められ、旧ホテル城戸口屋から上流部の護岸整備は中断したままです。その理由として、所有者の廃業に伴い用地買収の目途が立たず事業が休止している状態であり、県と市が連携して事業再開に向けて取り組んできたところであります。
  令和2年秋以降、市では所有者などと連絡を取り、事業へ協力するという回答が得られたということで、新湯・荒町地区の全面的な協力と合わせ、荒町川及び八幡堂川の河川改修事業再開に向けた取り組みが進められております。
  今後も県と協力し、河川改修に向けた用地買収など、整備を進めていただくとともに、河川に親しむ地域づくりとタイアップした河川整備が必要だと考えます。
  具体的には、「荒町川を愛する会」などの河川愛護活動を活かすためにも、河川改修に伴う周辺整備では、地域住民が河川に親しむ地域づくりを加味した整備を進め、階段や遊歩道などの整備をすることが望まれます。
  荒町川は、毎年のように水害が発生する暴れ川だったと聞いています。地区住民からの河川改修要望が高まる中、観光・健康増進に活用したいという考えも生まれ、自然と人間が関わり合える多自然川づくりとして整備が進められてきました。
 今後整備が予定される荒町川及び八幡堂川合流付近においても、多自然川づくりの観点からの河川整備を進めることを提案します。市長のご所見をお示しください。