議席番号1番、日本共産党議員団 守岡等です。私はまず、
 
1 中心市街地の活性化・カミン対策の強化について 質問させていただきます。
 中心市街地の活性化に対する市民の関心は大変大きなものがあります。とりわけ、ショッピングプラザ・カミンでショッピングセンター運営事業を展開してきた上山二日町ショッピングセンター協同組合の自己破産に対して市民は大きなショックを受けています。買い物客、商店の従業員、地域住民が泣きながら助けを求めています。私は何よりも行政が責任を持ってこの問題に対処し、買い物に困っている市民の声に耳を傾け、そしてショッピングセンターの経営者・従業員に展望を与えられるような施策の構築が求められていると思います。
 ショッピングセンター協同組合は1993年に設立され、約9億5,600万円を借り入れて1階・2階の商業スペースを取得し、運営されてきましたが、20年間で返済したのは1億円程度で、負債総額が8億9,000万円にも上っています。この間、市としても空きスペースへの新たな出店の推進や広場を利用したイベント・発表会の企画、高齢者サロン事業の展開など、にぎわいづくりにつとめてきた経過がありますが、残念ながら自己破産という結果になってしまいました。
 今後、破産管財人のもとで破産者の財産の換価処分が行われ、債権者(そのほとんどは県)に弁済が行われますが、財産状況報告集会等が9月8日と伺っています。破産処理についてはその推移を見守る必要がありますが、一方で本市としての対応策を今から十分に検討していく必要があります。以下、カミン再生に向けた問題提起を行いたいと思います。
 まず、カミン再生の事業を誰が責任をもって行い、事業推進の担い手をどうつくるのかという問題です。この問題で、まだ破産前ではありましたが、民間シンクタンクが報告書を作成し、カミンを「地方創生に向けた拠点」としての役割を担う「公共・公益的な施設」として運営するため、市の参画を強化する、と明記しています。また、施設再整備にあたっては、上山二日町再開発株式会社が組合所有部分について固定資産評価額等に基づき買い取ることも含めて検討する必要があると明記しています。さらに組合店舗をはじめ、新たな機能展開に向けた担い手確保と育成を行い、そのために中心市街地内の市民・事業者・各種団体を巻き込んだ検討を進めるとしています。
いま中心市街地活性化の次期基本計画の策定に向けた準備が進められていると伺っていますが、その中でカミンの問題をどう位置づけるのか、カミンも中心市街地活性化の主要課題となるのかどうか、市長の見解をお伺いします。
 
 私は、市が積極的にカミン再生にとりくみ、そして、中心市街地活性化の中心課題としてカミンを位置づけ、店舗の方々や地域住民の要望に応えていく必要があると考えています。そして、カミンが中心が活性化の核として大きな役割を果たし、より人々が集まりやすい場としていくために、以下のような具体的な提案を行うものです。
(1) 高齢者の介護・福祉事業を進める宅老所の設置
 いま市民が一番行政に求めていることは、健康で長生きできる施策の構築です。上山市の象徴ともいえるカミンで高齢者の介護・福祉事業を進めていくことは、多くの市民が望むものではないでしょうか。さらに、少子高齢化が進行し、人口減少が急ピッチで進む当市において、健康・福祉を前面に出したまちづくりを進める必要があります。安心して子どもを産み、育てられるまち、安心して医療や介護が受けられ、子どもからお年寄りまで一番暮らしやすいまちとしてアピールしていく必要があるのではないでしょうか。
 また、高齢者の利用割合が高い現状から見て、高齢者の集客をいっそう広げる上でも、高齢者を対象にした事業を拡大していく必要性があるのではないでしょうか。
 そうした健康・福祉のまちづくりの一環としてカミンが大きな役割を担うために、カミンの内部に宅老所を設置することをまず提案します。宅老所とは、介護保険サービスなどの既存制度の範囲では手が届かない部分にもきめ細かく対応した独自の福祉サービスを提供する地域に密着した施設です。元気なお年寄りから要介護度の高い方も対象に、マンツーマンに近い形で高齢者に寄り添ったサービスを提供するのが特徴で、特に認知症ケアの面で優れた効果をあげています。宅老所の多くは、独自のサービスとあわせて、介護保険法にもとづく指定を受け、居宅介護サービスを提供しているところもあります。住み慣れた地域で、家庭的な雰囲気の中でサービスが提供され、運営スタッフも地元のボランティアの方々が参加されることも多く、まさに「地域によって高齢者等を支えているところ」といえるものです。
 ユマニチュードという認知症ケアについては、以前NHKクローズアップ現代でも取り上げられ、ご存じの方も多いと思います。それは目の高さを同じにしてまっすぐに見つめ、優しく話しかけ、スキンシップをはかり、自立を援助するというきわめてシンプルな、まるで赤ちゃんに対する母親の対応そのものですが、ユマニチュードの導入で、薬の使用を減らしたり、職員の負担が減った、職員に対して声を荒げていた人が感謝の言葉を口にするようになったなど、すぐれた効果が報告されています。
 このユマニチュードこそが、実はフランスから導入される以前からすでに日本の宅老所で実践が積み上げられてきた、すぐれた認知症ケアの方法なのです。私も県内の宅老所と関わりを持った経験があるのですが、常に寄り添い、これまで過ごしてきたのと同じような環境で家庭的なサービスが行われることによって、認知症の高齢者が劇的に改善した事例も目の当たりにしました。高齢者が笑顔を取り戻したり、おむつが取れたり、心が安定し穏やかな老後を過ごす上で非常に有効な施設であることを実感しました。
 今後、宅老所はグループホームとならんで21世紀の高齢者福祉の切り札になるともいわれています。NPO法人でボランティアの参加が積極的にはかられる形態は今後国も強く推奨するものですが、上山市での典型をつくりあげるため、市としても積極的に支援していく必要がある分野であると考えます。
 また、カミンのスーパーがあったところに、有志の方が懐かしい映画のポスターを多数展示してくれています。たとえばこの空間を昭和のまちとしてよみがえらせて高齢者の懐かしい思い出があふれる空間をつくることによって、高齢者の憩いの場、心の安定を養う場としていくことも重要ではないかと思います。
 宅老所の設置について市長の御所見をお示しください。
 
(2) 屋内で子どもが遊べる施設の設置
 冬季間や夏の暑い時期、雨天の時などに自由に子どもが遊べる場がほしいというのは長年の保護者・子どもたちの願いです。今回のカミン再生の機会を絶好の機会として捉え、こうした子どもたちの遊べる環境を整えることは、これまで市で実施してきた子どもの医療費無料化や第三子保育料無料化とあいまって、少子化対策のさらなる前進につながるのではないでしょうか。子どもからお年寄りまで安心して暮らせるまちづくりの中心施策としてカミンの内部に子どもが遊べる屋内施設の設置を提案します。
 このほかにも観光客用のおみやげや特産品を扱うコーナーの設置や、鶴岡市中心市街地活性化の一環として取り組まれ、織物工場跡地を利用して新作のほかに名画の上映も行われる「鶴岡まちなかキネマ」のような映画館構想なども必要だと考えます。
 今後のカミン再生に向けた市の関わりと具体的な提案に対する市長の御所見をお示しください。
 
2 空き地対策の強化について
 国の方で空き家対策特別措置法が全面施行され、本市における計画の整備が待たれるところです。私も先日、廃墟になっているカラオケ店の跡地を見学してきましたが、入り口部分におびただしい血痕が残っており、近隣住民は大きな不安をかかえ、早急な対策が必要だと痛感してきました。こうした空き家対策では、まず所有者を明らかにすることが大事ですが、これまでは登記簿を確認するしか方法はなく、登記簿記載の住所から変更されていたり、電話番号がわからないという不便がありました。しかし、今後、空き家所有者を特定するために、空き家対策特別措置法に基づき、固定資産税データを活用して所有者、納税義務者、納税管理人の住所・氏名がわかるようになったとのことで、これまで以上に所有者の特定・連絡が進むことが期待されます。
 さらに市町村によっては所有者への勧告や命令なしに市が最小限度で対処できる「即時執行」の項目を設けたり、建物が崩れるなど近隣住民らの生命や財産に危険が迫っていると市が判断した場合に、必要最小限の「応急措置」をとれるようにしているところがあります。
 今回は、こうした空き家問題と同様に所有者と連絡が取れないいわゆる「空き地」の問題を取り上げたいと思います。
(1) 民有地に対する応急的な危険回避措置
 本市においても所有者との連絡が取れない危険な空き地が見受けられます。実際、倒木や落石が起こり子どもたちの通学の障害になったり、物的・人的被害も危惧される箇所があります。
 近隣住民の生命や財産に危険が迫っていると市が判断した場合には、倒木の伐採・処理や落石の防止、防護ネットの設置など必要最小限の「応急措置」を行えるようにすべきではないでしょうか。
 
(2) 所有権が不明な民有地に対する権利移転の支援
 これまでにも地区会として解決に向けた努力を行ってきましたが、すでに所有権が放棄され、権利移転の手続きを進めるためには全国に散らばる所有者の親戚などすべてに所有権放棄の同意書を集めなければならないという、地区会ではとうてい扱いきれない事務作業と経費がかかり、地元での対策が頓挫している状態にあります。
 所有権が不明な民有地の所有権移転の手続きに際し、地区等が対応する場合は手続き等に係る費用の助成を行うなど、今後、年々増加すると考えられる空き地の解消に向け、市としても対策を講ずる必要があると考えますが、いかがでしょうか。市長の御所見をお示しください。
 
3 胃がん対策の強化について
 本市における死亡原因の第1位は悪性新生物、いわゆるがんになっていますが、そのなかでもとりわけ肺がんと胃がんの割合が高いのが特徴となっています。
 今回はその中でも胃がんの問題を取り上げたいと思います。胃がんは早期発見・早期治療によって完治するものであり、生活習慣の改善と検診の充実が求められる分野でもあります。
(1) ウロペーパーによる尿塩分チェックの普及
 欧米諸国では胃がんは非常に少ないそうで、塩分摂取量が高い日本などアジア諸国で胃がんが多くなっています。その日本の中でも山形県は食塩の一日摂取量が11.8グラムと、全国平均の10.2グラムを上回っています。
 高塩分濃度の食品の習慣的な摂取は、胃の粘膜を保護している粘液を破壊して、炎症を引き起こすものです。このような状態ではピロリ菌という細菌の持続感染を招き、さらに胃の慢性炎症により、胃がんになりやすい状況を招くというのが学会の通説です。
 近年、食生活の改善で塩分摂取量が減ってきている中、胃がんの死亡率も減ってきているという統計もあることから、食生活改善運動を進め、塩分摂取量を減らすことが胃がんを減らすことにも直結すると専門家は指摘しています。また、減塩対策は脳卒中や高血圧を予防する効果もあり、相乗的に医療費抑制をはかる効果もあると考えられます。
 現在、本市においても食生活改善運動や出前講座などが取り組まれていますが、そうした活動をさらに強化するとともに、あらたに尿塩分チェック活動を取り入れ、ウロペーパーという試験紙を使って学校や企業、家庭で一日の塩分摂取量をはかる取り組みを広げてみることを提案します。その手始めとして、市において健康講座など諸企画の参加者などを対象にウロペーパーを配布する取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。
 ウロペーパーとは簡単な試験紙を尿に付けるだけで一日の塩分摂取量がわかるという、以前NHKの番組でも紹介されたものです。試験紙の単価は一枚75円ほどです。私たちがいかにたくさん塩分を摂取しているかを知り、食生活の改善、減塩対策の強化につなげることで、胃がんの発生抑制も期待できると考えられます。市長の御所見をお示しください。
 
(2) 胃がん検診への胃内視鏡検査の導入
 本市においても各種がん検診が取り組まれていますが、胃がん検診は33.5%(平成24年)と他のがん検診に比べ低い受診率になっているのが特徴です。
 最も早期発見・早期治療が求められるにもかかわらず、なぜ低い受診率になっているのか調査してみました。現在、国が推奨している検査は胃]線造影検査で、本市でもこの方法によって検診が実施されていますが、この胃X線検査は身体への負荷が大きい検査でもあります。バリウム飲用による副作用として排便遅延(便秘)や硬い糞便の排泄の訴えがあり、さらには誤嚥やバリウム腹膜炎、大腸穿孔(せんこう)など安全性の問題もあります。特に胃X線検査は多量の放射線被曝の問題をはらんでおり、がんのリスクが増加することを指摘する論文も出されています。
 胃X線検診は胃がん死亡率の減少に有効な検診方法とされてきましたが、内視鏡検診との比較でがんの発見成績が劣ることや、検診以外の臨床現場で消化管X線造影検査の役割が縮小していることなどから、これまでの運用方法を再考する岐路にあることが専門家からも指摘されています。
 全国で胃がん検診が進んでいる自治体の一つに新潟市があります。新潟県立がんセンターの調査研究によると、2003年から2012年の10年間で内視鏡検診によるがん発見数は2,424例でがん発見率は0.88%、直接X線検診によるがん発見数は571例、がん発見率0.32%ということで、X線検診よりも内視鏡検診の方が3倍近い発見率になっていることが示されています。日本消化器がん検診学会でも胃X線造影検査による胃がん発見率は0.078%、内視鏡検査による胃がん発見率は0.26%と、内視鏡検査による胃がん発見率はX線造影検査よりも3倍以上高くなっていることが報告されています。
 こうしたことから、これまでなかなか国の方で推奨されなかった内視鏡検査が、「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版」で認められ、今後対策型検診(いわゆる住民検診)に組み込まれるようになります。
 現時点で、対策型胃がん検診として内視鏡検査を行っている自治体は、県・市町村として鳥取県、新潟市、福岡市、金沢市、前橋市、越谷市、静岡市など十数地域が知られており、政令指定都市、中核市、特例市などの公式ホームページによれば、これら104自治体中29地域が内視鏡検診を導入しており、鳥取県および富山県黒部市を加えると31(29.2%)の自治体が内視鏡検診を行っていることが報告されています(京都第二赤十字病院・小林正夫)。今後ますます内視鏡検診が増えることが予想されます。
こうした状況の下で、胃がん検診の充実のために、胃内視鏡検査を取り入れることを提案します。現在、本市の胃がん検診は胃バリウム検査が主体となっていますが、選択肢に胃内視鏡検査も取り入れることによって、胃がん検診受診率が向上し、胃がんの早期発見・早期治療もこれまで以上に飛躍するものと考えられます。そのためには、新たに医療機器や人材の導入・育成も必要となりますが、むしろ市内外の医療機関と提携し、現行の胃X線造影検査を基本としつつも、オプションとして胃内視鏡が受けられるような制度にすることで、医療機関等との連携や地域包括ケアの理念・取り組みの進展といった相乗効果もはかられるのではないでしょうか。市長の御所見をお示しください。
 
(3) 特定健診へのピロリ菌検査の導入
 最近の研究では、ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の持続感染が胃がんの主な要因と認知されており、血液を採取しピロリ菌の有無とペプシノーゲン(胃粘膜萎縮)を検査することで、胃がんになりやすい状態かどうかを判定するABC検診の有効性が示されており、受検者が自分の胃がん危険度を自覚できるすぐれた方法だといわれています。
 わが国では2013年2月からピロリ菌感染胃炎に対する除菌治療に保険適用が拡大され、内視鏡検査とピロリ菌感染検査を受けてピロリ菌感染胃炎と診断されれば誰でも保険診療で除菌治療が受けられるようになりました。
 2014年に公表されたIARC(Intenational Agency for Research on Cancer)のワーキンググループ報告では、ピロリ菌除菌により胃がん発症を30〜40%減少できる可能性があり、胃がん死亡率が高い地域では状況に応じて除菌治療を胃がん予防対策として考慮するように提言しています。
 ピロリ菌感染率は、上下水道などの衛生環境が十分に整っていない時代に生まれ育った50歳代以上は80%であり、10〜20歳代では20%以下となっています。こうした状況の下、40歳以上の方を対象にピロリ菌検査を実施して、保菌者の除菌を行うことが、胃がん撲滅の近道となると考えられます。そこで、現在市で実施している特定健診時に血液検査であるピロリ菌検査を実施し、その費用について助成することを提案します。ピロリ菌検査を行うことは胃がん予防に効果的であり、胃がんに要する医療費負担の軽減にもつながると考えますが、市長の御所見をお示しください。