議席番号4番 守岡等です。
 令和2年請願第6号核兵器禁止条約の署名と批准を日本政府に求める意見書の提出に関する件について、願意妥当採択すべきという立場で賛成討論を行います。
 2017年7月7日、国連は世界の核兵器を法的に禁止する「核兵器禁止条約」を122カ国の賛成で採択しました。その瞬間、日本の被爆者の代表は「戦後72年待った。こんなうれしいことはない」と国連本部で喜びを爆発させました。被爆者の思いは一つ、被爆者は私たちで最後にしてほしい。二度と被爆者をつくらないでほしいという、崇高な倫理性にもとづくものです。
 この日は人類史上忘れられない一日となったと同時に、「日本ってどういう国なの?」と世界から疑念を持たれる日にもなりました。
 それは、この条約は122カ国の賛成で採択され、反対はオランダだけでしたが、日本は核保有国などと一緒に会議をボイコットしたからです。
 唯一の被爆国として、日本は原爆の恐ろしさを世界に発信し、核保有国へ核兵器廃絶の橋渡しの役割を担うべき国です。しかし、現実的に日本はアメリカの核の傘のもと、核抑止力論の立場に立って、核兵器を追認する立場をとっています。
 この核の傘、核抑止力論は実際機能しているでしょうか。
 第一に、核戦争の一歩手前まで行ったキューバ危機を忘れることはできません。当時のアメリカ・ソ連の首脳は、世界的な大戦争、核戦争もやむなしと考えていたことが、後日明らかになっています。まさに首脳の判断一つに地球の未来が委ねられていたという事実が、核の傘・核抑止力論の脆弱さを露呈したのではないでしょうか。
 第二に、その後、核兵器保有国が常態化し、一部の先進国の核保有体制が確立しましたが、NPT(核拡散防止条約)の再検討会議の議論でも明らかになったように、なぜ核保有国の核兵器は容認されるのかという根本的な問題が提起され、現実的には先進五カ国の国の核保有国以外にもインド・パキスタン・北朝鮮が核兵器保有を表明し、イスラエル・イラン・シリア・ミャンマーが核兵器開発を進めるなど、核抑止力は全く機能していません。
 第三に、さらに心配なことは、テロ組織が核兵器を保有することの問題です。いま、アフリカ、中東、アジアも含め全地球規模でテロ活動が発生しています。テロ組織が核兵器を保有した暁には、核の傘、核兵器抑止力論が機能しないことは自明の理です。核テロを防ぐには、核兵器の全面禁止を実現するしかないのです。
 いま、近隣の中国や北朝鮮などの国との緊張が高まっています。核の傘、核抑止力論などの立場から緊張を高めるのではなく、対話と外交の力による平和の構築をめざすべきです。
 日本は平和憲法を持ち、戦争を放棄し,戦力を持たないと決めた国です。同じように軍隊を持たない国としてコスタリカが有名ですが、コスタリカは徹底的な平和外交を進め、軍事費を教育費に回した結果、政治的にも安定が続き、中南米諸国の間で最も栄えた国の1つとなっています。日本の目指すべき道はコスタリカが示しています。
 核兵器をなくすためには、戦争をなくすためには、こうした教育を高め、世界市民の育成、地球規模での価値観を持った市民の育成が必要です。
 いま、全世界を新型コロナウイルスが猛威をふるっています。こうした中、世界は核や戦争にお金を使うのではなく、いのちとくらし、平和を守るために協力し合わなければなりません。
 そうした地球市民の立場に立ち、核兵器のない世界に向け日本は核兵器禁止条約に署名・批准すべきと考えます。
 最後に唯一の核兵器を使用した国の大統領として、その深い反省に立ち、核兵器のない世界を主張したオバマ元大統領の言葉を紹介します。オバマ氏は有名なプラハ演説でこう言っています。核兵器のない世界は直ちに達成できるわけではない。この目標を達成するには根気と忍耐が必要である。しかし私たちは「Yes,we can(私たちはできる)」と主張しなければならないのだ。
 核兵器禁止条約の署名と批准を日本政府に求める意見書提出に向け、議員各位の賛同をお願いして、賛成討論とします。