宿泊型産後ケア事業の実施について
 
 いま育児ノイローゼ等による痛ましい事故・事件が連日のように報道されています。ただでさえ不安を感じる子育てですが、核家族化や地域とのつながりが希薄化する社会状況においては支援が必要な母子が増加していると思われます。
 上山市においても、市外から嫁いできたため身近に相談できる人がいない、夫をはじめ子育てに対する協力が不十分だ、産後うつがひどく子育てに自信が持てないという深刻な声が寄せられています。また10代および20代前半の出産もあり、障がいを抱える方の出産もあると伺っています。私たちが産後ケアについて視察した先の説明では、出産年齢が早いほど子育てに対するリスクも増えるということを学びました。
 出産後のマタニティーブルーを体験した方は多いと思いますが、「湯ったり健康かみのやま21」アンケート調査でも57.6%の保護者が「育児に困難や不安を感じることがある」と答えており、育児支援の取組は重要になっています。
 本市でも妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない支援の充実をはかっており、妊婦健診や乳幼児健診、療育相談などが取り組まれています。
 一方で、産後すぐは母親が心身ともに不安定な状態にあるにもかかわらず、上山市ならびに近隣自治体においても産後ケアに取り組む医療機関が少なく、支援が十分とはいえない状態にあります。
 このため、山形県は産院退院後から産後3〜4カ月ごろまでを「支援の手薄な期間」と位置づけ、母親が赤ちゃんと一緒の生活に早く慣れるよう、助産師や保健師等が授乳や子どものケアなどに対してアドバイスを行う「宿泊型産後ケアモデル事業」を平成28年度に実施しました。
 この事業は、2泊3日を基本として、希望者には最大6泊まで可能とするもので、上山市の旅館の他、山形市のビジネスホテルや研修施設を利用し、2泊3日の費用は食費込みで5千円から1万5千円というものでした。期間中は助産師3人が交代で付き添い、赤ちゃんの発育チェック、授乳や沐浴指導などを行ないました。
 産後ケアを利用した方は、「頼れる人や親しい人が近くにいなくて夜泣きなど大変でしたが、助産師と朝から夜まで一緒に過ごすことで、これもあれもと聞きたいことがどんどん出てきた。三日間で助産師さんたちに支えてもらい、疲れが癒やされた。こんなに手をかけてもらったのだから、明日からまたがんばれそう」と感想を語っています。
 お母さんたちが孤立せずに、安心して産み育てられる環境を整備するために、宿泊型産後ケア事業を実施することを提案します。