(1)戦争のない世界のために
 
 戦争は絶対反対です。その理由は、
@生命は何よりも大切なものです。かけがえのないいのちを暴力的に奪う戦争は絶対に許されません。私は医療従事者として、老若男女問わず、一つのかけがえのないいのちを守るために奮闘している医師・看護師の姿を間近に見てきました。そのかけがえのないいのちを一瞬にして大量に奪う戦争は医療とは正反対の次元にある相容れないものとして、決して許せません。
 
A先の日中戦争、太平洋戦争は日本の侵略戦争でした。その背景には市民の権利を抑圧しながら海外に市場や資源を無計画に拡大する資本主義の本質が如実に表れていましたが、戦後、侵略と人民弾圧の反省に立って国民主権と平和主義、基本的人権の尊重を柱とする日本国憲法が制定されました。二度と戦争をしない、戦力を保持しないと誓った日本国憲法の精神は世界から戦争をなくすための指標になるものだと考えます。
 私自身、南方の戦場で飢えに苦しみ、人肉をあさった知り合いの経験、満州から引き揚げる際に日本軍から強制自決を迫られ、目の前で親族8人が殺された人の話などを直接聞いてきました。記憶をたどればまちかどで傷痍軍人の方々が物乞いをする姿もみており、戦争は遠い話ではないような気がします。あの戦争の本質を把握し、戦争体験者の声に耳を傾けるなら、決して二度と戦争を起こしてはならないということが実感できると考えます。
 
Bベトナム戦争はじめ、戦後のほとんどの戦争は「集団的自衛権」の名の下に行われてきました。いま(2014年8月現在)安倍内閣が容認した集団的自衛権とは、結局アメリカの戦争に荷担することです。イラク戦争でヨーロッパの多くの国々の兵士が死亡したように、今度は日本の自衛隊の方々がアメリカの行う戦争で殺し、殺されることになります。東日本大震災で自衛隊の方たちの果たした役割には多くの国民が感謝しています。私自身、遺体の入ったブルーシートを運ぶ自衛隊員の姿に合掌しました。災害に関わらず多くの自衛隊の方々は日本を守りたいという純粋な気持ちで入隊したと思います。日本から遠く離れた異境の地で、アメリカやその支配層の権益を守るために闘い、いのちを落とすことなど、誰も考えていなかったと思います。
 
C戦争の裏では必ず兵器産業・軍需産業が暗躍しています。闘っているもの同士が同じ兵器で殺し合っていたという笑えない話しもあります。軍需産業を柱とするアメリカ経済は、常にどこかで戦争をしていないと持たない構造になっているといわれています。軍需産業・政治家・(大学)が一体となって戦争を必要とするようなシステムにメスを入れるべきです。
 
<核兵器廃絶について>
 戦争と同様に、核兵器も廃止すべきです。核兵器と通常兵器を区別するわけではありませんが、その威力・非人道性からみても核兵器は廃絶すべきです。いま国連加盟の多くの国々は核兵器禁止条約の締結を求めています。核兵器を保有している6カ国が最後の抵抗を行っていますが、オバマ大統領がプラハ演説で述べた「核兵器使用に対する人道的責任」について、アメリカ・イギリスも理解を示し始めています。
 2010年のNPT(核拡散防止条約)再検討会議ニューヨーク行動で潘基文国連事務総長は「核廃絶の光が地平線に見えてきた。これは市民社会の運動によるもので、深く感謝しなければならない」と述べました。国連の入り口には私たちが集めた署名用紙が高く積まれています。こうしたことに確信を持って、核廃絶の運動に今後も取り組んでいきます。
 
<福島原発事故について>
 原子力発電は人類がまだ制御できない未確立の技術です。福島原発は収束どころか、メルトダウンした核物質がどのような状態にあり、どのように取り出し、どのように処理するかいまだに方向性すら見いだせない状態です。使用済み核燃料の対応もしかりです。いま必要なことは総意をあげて原発事故を収束させ、安全な状態にすることです。こうした状況のもとでの原発再稼働、原発輸出など行うべきではありません。
 また、原発事故被害者の救出に全力をあげるべきです。特に福島県からこの山形県に多くの避難者が訪れています(2014.6現在山形県約5千人、上山市100人)。何よりもまず、避難者の方々が安心して生活できる環境を整備することが必要です。
 このことについてはこちらでまとめてあります。
福島原発事故への対応について